【リレーエッセイ(トレーナー9)】
森實摩利子
高知県で児童通所支援事業所を運営しております、森實摩利子と申します。
和歌山県立たちばな支援学校の岡本先生よりバトンを受け取りました。
動作法と出会って25年。これまで私を育ててくださった方々への感謝を、この機会にお伝えしたいと思います。
一つ目の感謝は、私の師でもある安好博光先生です。
私が動作法を学ぶことになったのは、鳴門教育大学大学院で安好先生のゼミに所属したことがきっかけでした。
「私が支えると立てない。でも安好先生が支えると立てる」——そんな現実と、何度も向き合ってきました。
「できないのは子どもではなく、トレーナーが下手だからだ」という言葉。一見厳しいようですが、「それができるように教えるのが私の役目だ」と、常にそばでご指導くださいました。
言葉は厳しくとも、子どもたちへ向けるまなざしはとても温かい。
SVとしての役割を担う今、トレーニーさんの願いや保護者の希望、トレーナーさんの学びに対し、SVである私が責任を持たねばなりませんが、まだまだ学ぶべきことは多くあります。
現在も年に1回、高知にお越しいただき、ご指導を受けていますが、毎回が刺激的で学びの多い時間です。
安好先生、これからもご指導のほど、よろしくお願いいたします。
二つ目の感謝は、2017年に私が開業するきっかけをくださった中野弘治先生です。
高知県は、動作法人口が多い県とは言えません。当時、心リハの活動以外で動作法を実践する場は、ほとんどありませんでした。
そのため、開業当初は動作法を知っていただくために、中野先生と二人で放課後等デイサービスや高齢者施設を回って営業しました。
先生は、初めての場所でも「どうしたん? その肩、ちょっと弛めたろか」と、軽やかに声をかけ、するすると相手の心をつかんでしまいます。心をがっちりとつかむ技術と、生まれ持ったユーモア。そばで見ていて、毎回すごいなあと感動していました。
先生が背中を押してくださったからこそ、今の私があります。
とても悲しいことに、先生は今年の7月にご逝去されました。もっと多くのことを教えていただきたかったし、わいわいと楽しいお酒もご一緒したかった…。
天国で、成瀬先生とお会いになられましたでしょうか。心よりご冥福をお祈りいたします。
三つ目の感謝は、私を育ててくださった高知県心理リハビリテイション研究会のメンバー、そしてフェニックス親の会のみなさんです。
学生の頃からお世話になり、もう25年になります。キャンプでは、うまくできなかった悔しさや申し訳なさから涙したことも多々ありますが、初心者トレーナーも大きな懐で受け入れ、育ちを見守ってくださる保護者の皆様には、本当に感謝しかありません。
また、切磋琢磨しながら共に学ぶ研究会メンバーからは、いつも大きな刺激をもらっています。
2018年には高知で全国大会を開催。少数精鋭メンバーで準備を行い、徳島や岩手の先生方にも助けていただき、何とか大役を果たせました。
全国大会を経て、研究会と親の会の結束は一層高まり、コロナ禍も無事に乗り越え、今年で48回目のキャンプを迎えます。
この場に集うことが大好きなメンバーがいる限り、50回、60回と回を重ねられるよう、これからも変化に柔軟に対応し、支え合いながら活動を続けていきたいと思います。