各地の会や団体

タイにおける動作法

谷 浩一

ここでは、タイに動作法を導入しはじめた経緯と現状を紹介したいと思います。

活動の開始と経緯

タイで動作法を開始するに当たっては、まず「大阪動作法ソサエティ」(Osaka Dousa-Hou Society(※)、以下、ODS)という名称の組織を立ち上げました。そして、日本人でタイでボランティア実績のある方から紹介していただいた「障害児のための財団」(Foundation for Children with Disabilities、以下FCD)のタイ人理事長を日本にお招きし、日本国内で実施されている動作法キャンプを視察していただきました(1995年夏)。

上記の視察の後、翌年に今度はわれわれODSのメンバーがタイに出向き、FCDの“お膳立て”で1日セミナーを開いてタイ人に動作法の概要や意義、さらには効果を紹介する機会を設けていただきました。そして、さらにその翌年(1997年)にはバンコクとウドンターニー(タイ東北部)の2ヶ所で前年のセミナーとほぼ同様の型式でセミナーを開催し、199812月に「第1回タイキャンプ」(67日)の開催にこぎつけました。

第1回セミナー風景(1996年) 第1回タイキャンプ「開会式」(1998年)

活動の現状

上記のような経緯を経てキャンプを開始し、2019年の時点までにFCDODSの共催によるキャンプは主に34日(夏)と56日(冬)の2種類の型式で合計34回の実施に至っています(ただし、2020年は“コロナ”の関係で1回もできませんでした。)。キャンプスケジュールについては、タイは冬でも暑い国なので起床時刻を(日本のように7:00ではなく)6:00にしている以外は午後9:00の就寝時刻まで日本で行っている内容と全く同じです。“5分前行動”の徹底も日本と同じ。最初はこの方式でタイ人がスケジュールをこなせるかと心配でしたが、今では日タイ関係者すべてにこの方式が完全に定着しています。

上記のような活動を続けてきた結果、タイ人のスーパーバイザー有資格者が現在6名誕生しています。

ただ、タイの社会事情からキャンプでのトレーナーは主としてトレーニーの保護者です。そしてトレーナーもしくはスーパーバイザーの資格取得を目指すならば「自身の子どもをトレーニーとして担当するのは1回のキャンプのみ。それ以外は別の子どもを担当しなければならない。」ことを原則としています。そのようにして誕生した保護者のスーパーバイザー有資格者やトレーナー有資格者が自宅を開放してHome Schoolと称し、定期的に動作法を実施する場を開設し始める方が多いのがタイ人の特長です。そして、そうしたHome Schoolは現在ODSが把握している限りではバンコク市内で少なくとも20ヵ所以上、さらに南のナコンシータマラート県を中心にバンコク以外でも少なくとも4ヵ所以上ある状態です。

このようにして、われわれODSFCDとが協力し合ってタイでは“草の根”的に確実に動作法の輪が広がりつつあります。

近年のキャンプでの動作法の様子(2018年) タイ人有資格SVによるトレーナー研修の様子(2019年)

※日本リハビリテイション心理学会では「動作法」の英語表記をDohsa-Houとしていますが、われわれがタイで活動を開始した当時はこうした規定がなく、“Osaka Dousa-Hou Society”との表記がタイでは現在も一般に通用している状況であるため、ここでは“Dousa-Hou”と表記しました。